教育の移行期に選ばれる塾とは
いまや教育は移行期のまっただ中にあります。成長社会から成熟社会へ移ったことにより、求められる学力まで変わってきました。これまでのようにいち早く、正確に、一つの正解を見つけ出す「情報処理能力(TIMSS型学力)」だけではなく、自分の考えに照らして納得のいく「納得解」を導き出す「情報編集力(PISA型学力)」も注目されるようになりました。地域の大人も参加し、ロールプレイやディベートなどを駆使して、情報編集力を育てる【よのなか】科の重要性はいよいよ高まっています。
現在の移行期を通り越して、その後の教育の姿はどうなるか、私は次のように考えています。
公教育に関しては、マネジメントができる校長の育成が図られるだろうし、民間出身の校長も増えてくるはずです。おそらく10年ほどで公立学校のマネジメント力は着実に上がるでしょう。
塾もそのありようを大きく変えるでしょうね。もともと塾は、公教育の不足部分を補うところに存在意義がありました。読者の方には少々耳が痛いかもしれませんが、これまで大して努力せず、公教育の「おこぼれちょうだい」という消極的な姿勢であっても、塾が発展できたのはこんな理由があったからだと思います。
そのせいか、塾の中にも、合理的な経営には程遠いところも数多くあります。あえて厳しい予言をすると、10年後には、塾の多くが淘汰され、その数は半減してしまうなんてことも、まったくの絵空事ではありません。
しかし、淘汰される塾が増える一方で、マネジメント能力が高く、本物の教育哲学を持ち、単に受験学力だけではなく、PISA型の学習指導まで行える、そんな新しい力を備えた塾も登場してくるでしょう。このような塾は、逆にチャンスが広がります。それこそ、公教育の経営委託まで担うなんてことさえ出てくるかもしれませんよ。
教育に携わって分かりましたが、子どもたちが荒れる原因の一つは、学校の勉強についていけなくなること。特に小学校の3、4年生の算数の分数で落ちこぼれる場合が多い。もし、絶対に落ちこぼれさせない、高い指導技術を有する塾があるならば、自治体としても任せてみたいと思うはずです。
これまで公教育の専売特許だった生活指導にも精通し、一人あたりの総経費も安いならなおさら。付加価値を生み出せる塾にとっては、飛躍の機会となるでしょう。
いずれにせよ、塾の教材開発力と指導力がこれまで以上に求められている。安穏とはしていられない。そんな時代であることだけは確かだと思います。