教育ニュース

連載記事

受験情報

連載記事

さまざまな視点から、塾の元気を応援するメッセージ・情報などをお伝えしていきます。専門家によるコラムも満載です。

 

生徒の夢にとことんよりそって 第1回 教育はきっかけと環境づくり

24歳の決意。きっと学校をつくる

渡邊 美樹さん 「ワタミの社長がなぜ学校を?」と疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんね。

 24歳の1月1日の日記に、私はこう書いています。

 「人間が本当に人間らしい夢と希望を持った人生を送れる基を築くような教育機関の設立(中略)。これだけのことをやるのに、自分の人生をすべ て費やさねばならないかもしれない」―そして、(外食産業の)店舗を1店出したら塾を1つつくる。2店目の店舗を出したら2つ目の塾をつくる、というよう に繰り返して、塾が30になったら、それをまとめて学校をつくり、本格的に学校経営に参入するつもりだったのです。

 「将来、社長になる」という夢は子供のときからありましたが、新たな「学校をつくる」という夢が加わったのは大学3年生のとき。ボランティア活動で養護施設の子供たちの大運動会を企画・開催しました。そのときの子供たちのうれしそうな笑顔が深く心に焼き付いて、「いつか教育にかかわる仕事をした い」と思うようになりました。

 まもなく、ワタミの全身となる会社を立ち上げましたが、外食産業というのは店舗を開いたら食うか食われるかの世界。経営は中途半端な仕事ではないですから、学校経営まで行うのは困難です。経済的、時間的、そして心に余裕ができたときに、改めて教育に挑戦しようと決めました。

 ワタミの経営に注力して店舗の拡大に努めることに専念、2000年に目標だった東証一部上場をはたしました。いよいよ、学校をつくるために動き出しました。そして、2003年、郁文館学園(現、郁文館夢学園)の理事長となり、教育というフィールドに立つことになったのです。


夢のスイッチをオンにする

郁文館学園(現、郁文館夢学園)の理事長になったときから、「この学校は生徒の幸せのためだけにある」という信念をもっています。「あらゆる授業や行事が生徒の幸せのためになっているか?」ということを常にといかけながら、生徒に夢を持たせ、夢を叶えさせる学校。それが私たちのミッション(使命)です。

 ミッションには時間軸はありませんが、そのミッションを形にしていくビジョンには時間軸があり、そのためにさまざまなベクトルが動いています。例えば、生徒に対して夢合宿、理事長講座などを設けて、生徒がより具体的な夢をイメージできるような基礎教育を実践しています。具体的な夢がイメージできたら、「夢達人ライブ」と言っていますが、その夢を叶えた方を呼んで、生徒に話をしていただくことも行っています。

 夢をもつことが生徒を変えた例を紹介しましょう。郁文館夢学園の高校野球部は、試合に出るとコールド負けばかりの弱小チームでした。私が理事長に就任してから、彼らはグラウンドを持ち、「必ず掴む甲子園」と目標を書いた垂れ幕をバックネットに張りました。それから彼らの戦い方が変わりました。今まで試合に簡単に負けていたチームが一転して逆転勝ちするようになり、結果、東京大会でベスト32までいくことができたのです。勉強面でも同様です。目標設定を明確にした結果、去年から今年にかけて※MARCH+Gに合格した生徒の数が4割増えました。

 決して、私たちは野球に勝たせるため、よい大学に行かせるために学校を運営しているわけではありません。しかし、夢というキーワードで、生徒のスイッチをオンにさせることで、生徒の力が大きく花開くことを、日々学校運営の中で実感しています。

 

※明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学、学習院大学のこと


 
 

わたなべ みき

1959年神奈川県生まれ。明治大学商学部を卒業後、経理会社に入社。資本金300万円を貯め、’84年に起業。「つぼ八」のFC店として飛躍的に売上を伸ばす。’92年居食屋「和民」を開発。2000年東証一部上場。’05年ワタミ(株)へ社名変更。外食のほか、介護、農業、環境、教育の事業も展開中。 2003年、学校法人郁文館夢学園理事長に就任。医療法人盈進会(岸和田盈進会病院)会長、NPO法人「スクール・エイドジャパン」の理事長でもある。近著に「渡邊美樹の夢に日付を!夢実現の手帳術」(あさ出版)。